カラ回り 第277夜

対局は諸行無常の響きあり。

皇子が最近会食した女子、アミ。

年の頃はまだ22歳だが、日頃大人男子と飲むことが多く、同年代より年上の人のほうが一緒にいて楽しいし、落ち着くという女子。
スレンダーな体型に、少し少女の面影を残す見た目は皇子からしてもとても素敵に映る。

最近の全体的な傾向として、年の近い男子に満足せずお金と余裕のある年上男子のことを好きになる女子がめっぽう増えている。
とてもいい傾向だ。

それはまさに皇子がこの先、歳をとっていってもまだまだ女子たちとの邂逅を楽しむことができるということ。
令和に生きていてよかった。

そんなアミとのひととき。
事前にLINEでどういう人が好きで、以前はどういう恋愛をしていてということはヒアリング済み。

古代中国の兵法家、孫子いわく
勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む。

事前準備をしっかりした上で戦いに望むのが上策、女子と会ってから作戦を考えるのは下策ということにほかならない。
皇子は女子との対局を望むうえで、孫子の兵法書を熟読している。
ただそこにいて熟した果実が手元に転がり込むほど楽な人生であるという姿勢は、皇子とうの昔に捨てている。

アミ専用にカスタマイズした男子像を自身に纏い、いざ戦場へ。

新宿近くの洗練されたバーにIN。
尊敬できる年上男子、そして彼女の話の聞き役にまわるという姿勢を保持することで、アミの食いつきは上々である。

ただ気になることがある。
この子は酔うとエロくなってしまうらしく、カウンターで隣に鎮座する皇子にワイン数杯でしなだれかかってくる。

と同時にオープンな性格になるらしく、いま気になっている人がいる、その人どんな人でね、こないだこういう事言われたんだけどどう思うー?と皇子に問いかけてくる。

こういうことを言われると普通の男子は腰が引けてしまうのかもしれないが、皇子、他に気になってる人がいようといまいとあまり関係ない。
むしろ、いい女はこんなこと当たり前にあると思っている上に、それでもどうにかなることは身を持って知っている。

あくまで聞き役に回って、すこしずつ皇子もアミの好きになるタイプに近いんだよという一言二言を刷り込んでいく。
するとアミ、皇子も素敵な人だよねーとしなだれかかる角度が10度くらい更に深くなる。

今日、このあとどうしようか?
という皇子の問いに、

「えー、皇子に任せるよー」

いける。

と思った矢先。

皇子、またしても自分の運を過信していた。
たまたま、ほんとにたまたま、気になっているというその男子からLINEが来る。

聞くとその男子、牛歩戦術を取っているらしく、あまりLINEをしてきてくれないと。
なのに皇子と会っている、今このときに限って、久しぶりの連絡。

確率でいうと、計算したところ129分の1。

それにピッタリあたってしまった。
皇子がもしパチンコをやるなら毎日大当たり。

ちょうどその男子を褒めて、でも皇子もまあまあいい男だよとトークを仕込んでいた最高潮のタイミングで、期せずしてやってきたそのLINEにアミ、激しく反応。

今日渋谷で飲んでるけど会いたい

アミ、皇子に酔わされ、女になってしまっているタイミングだったので返す刀で
えー、私も会いたい!と一瞬の隙きで返信。

そうなると男から鬼LINE。

その絨毯爆撃に皇子の竹槍は根本から折れた。

「皇子、ごめん、あたし行ってくるね!また会おう!」

その言葉を言い残し、アミ、夜の街に消えていった。

嗚呼。

あと15分、皇子が連れ出すのが早ければ。
その男子が、今日もいつものようにLINEをしない気分でいてくれれば。

後悔先に立たず。
あそこは先に立てり。

今日も皇子は独り寝の褥に身をうずめるのであった。

総評
どうにか見つけた針の穴のタイミングを見逃すようなら皇子もまだまだ。

本日の対局
結果     カラ回り
エロス    ★★★★★
難易度    ★★☆☆☆
なごみ度   ★★★★☆
モテ度    ★☆☆☆☆