じっとりと分厚く、体に纏いつくような梅雨の湿気の頃をすぎると、
次に訪れるのが
太陽を浴びて肌が焼ける音、瞼を開き続けることが難しいほどの眩しい日差し。
今年も夏がやってくる。
それは決して不快なものではない。むしろなにかの胸騒ぎを呼び起こす。
そして日中の勢いが落ち着くと、憂いを帯びた夕暮れの香り。
夢中で友人たちと駆け回った少年時代の夏を思い出す。
さて久方ぶりの登場で、頼まれてもないのに夏を語りだした皇子、ここに健在である。
在りし日より、皇子はまだひたすらカラ回り、あがき続け、もがき続けている。
だがその中で、何やら皇子、過去数十年追い求めていたものの光明が見えてきた気がしている。
引き続き諸兄たちには、皇子がいかに生き、いかに求めるものにたどり着いたかを一大叙事詩として語っていきたい。
さて今日は
「私にはもったいない人」がテーマだ。
諸兄の中にも女子からこう言われて轟沈した悲しき戦士たちがいるはずだ。
得てして人間は強欲なもの。
自分が得たいものは、求めるように元々出来てる。
ということは、表層的な文脈から判断するに
このようにもったいないと思うならば必ず自分のものにしたいと思うはず。
しかして、結果は如何に。
この言葉を女子に吐かれた上でその女子とお付き合いや対局まで至れた男子は皆無ではなかろうか。
もったいないならなぜ手に入れない?
要はそれは表層的な意味で、実のところ1ミリもそう思ってないと判断することですべてがしっくり来る。
そう、皇子が先日まさにこの一言を言われたのだ。
ワカナは皇子が今回、食事をともにした女子。
20代後半の落ち着いたなかにも大人の色気を併せ持つ素敵な女子だ。
ワインが飲みたいということで
1件目は皇子行きつけのイタリアンにいざなった。
料理も美味しく、まだ涼やかなテラスで傾けるワイングラスに二人、時を忘れる。
お互いのこと、性格の話、恋愛の話と来て、共通点も多く大いに盛り上がる。
皇子がある程度リードしているということもあるが、ここまで気楽に話せる女子も案外少ない。
ワカナのことをもっと知りたくなった。
そろそろ皇子も落ち着いてもいい頃だ。
皇子とともに今宵もう少しいようよと告げると
すると返す刀でワカナ、
「えー、今日は帰るよ〜」
え、そうなの?
「皇子はわたしにはもったいない人だからな〜」
ワカナもったいないと思えるほど皇子のこと知ってたっけ。
もしくは皇子が自分では気が付かないが
そういうモード(自宅INモードね)に入ったことを見透かされたか。
嗚呼、恋は線香花火のごとく切ないもの。
あの何も恋の痛みを知らなかった少年の夏の日に戻れたら。
クラスメイトの女子と花火大会に行くだけでドキドキしたココロを取り戻せたら。
ちなみにワカナ、こないだ初めて出会ったときに同時にLINEを聞いた、
皇子の男友達と後日会ってすんなり家についてきてノーグダで対局したとさ。
皇子の夏は早くも終わった。
総評
皇子、夏はこれから。
エロス ★★★★★
難易度 ★☆☆☆☆
なごみ度 ★★★★★
モテ度 ☆☆☆☆☆