最近、特に都内において高級寿司店って相当増えた。
皇子の周りのグルメを気取っている男子たちも
「銀座の○○って赤身がうまいのよ」
とか
「日本橋○○町の○○の主人は、赤坂○○で修行した人だから間違いないよ」
とか
「ミシュラン1つだからまあアリだよね」
とか
なにを分かっているのか分かってないのかも実は彼らも分からないとは思うが、そうやってマウントを取り合っている。
そしてこの手の店は、えてして予約がめっぽう取りづらい。
それだけ店が出現してもニーズ自体はまだまだあるということだ。
お金あるところにはあるというのがまさに体現できる瞬間である。
まあそうはいっても
皇子も1軒、気に入ってる店がある。
年に1、2度訪れる感じ。
そもそもハードな常連でも数ヶ月に1度取れるかどうかという、いわゆる雨後の筍的な寿司屋たちとは一線を画するほんものの一流の店だ。
皇子としても予約が取れれば
スケジュールには記載しておくのだが
頻度がそんな感じだから予約していたことすらもいつか忘れる。
そして、スケジュールが近くなってようやく
「あ、そういえば入れてたな予約」
ということを思い出し、
一緒に行く相手を全くアテンドしていなかったことに毎回気づくのだ。
(ちなみに皇子は都度2名で予約している)
こんな時いつもは
気心の知れた男友達を誘うのだが
皇子1度やってみたかったことがあった。
「女子との初アポをあえてこのクラスの一流店でやってみる」
よく東京カレンダーで港区おじさんなる者共がやってる、アレだ。
女子が初回からの超一流の寿司屋で実際どういう反応するか非常に興味がある。
皇子は、基本的に初回から女子にお金をかけるのは愚の骨頂だと確信しているのでこのあたりのアクションを今まで起こして来なかった。
でも、せっかく生まれた以上、
やり残したこと、やりたかったのに行動に起こせてないことが1つでもある人生を送りたくないと思っている。
老人になって、
愛した人、仲間たちに囲まれ
命が今まさに尽きせんとしているとき、
なんだかんだでいい人生だったなと思って静かに目を閉じようとしているその間際、
「あれ?そういえば女子をいきなり超高級寿司につれてってどういう反応されるか、それが対局につながるかって皇子やってなくない?」
とつい思い出してしまい、そこでちょうど事切れたらどうなってしまうのだろう。
このことを考えると夜もおちおち眠ることができない。
未練を残して、化けて出たくない。
さらには後世の少年少女たちに
「あそこ、昔、女にモテなすぎて死んだ人のおばけが出るから行ったら不幸になるよ」
とか言われて、終末の地をアンラッキースポット認定されたくもない。
それに
「皇子ってこういう店にさらっと連れてこれる人なんだ♪」
って大人の余裕も演出できるかもだし
そういう人ならこれからも仲良くしてもいいかもと思ってくれるかもしれんしな。
ということで誘ってみた。
サリと知り合ったのはほんの最近。
とある会合で出会ったのだが、
身長もまあ高くちょっと目を引くきれいな女子。
元レースクイーンだがいまは辞めて普通の会社員をしている27歳。
だから現役の港区女子ほどチヤホヤもされない。
だが昔の記憶からか、
自分には少し自信を持っていて
さらには当時は男子に色々いいお店に連れてってもらったこともあるはずなので
今回連れて行く店の価値は十分に知っている。
そして出会った時はライン交換はできたのだが
後日数度LINEを送ってもすべて既読スルー。
今回の実験にうってつけの女子だ。
「まえ話したとき寿司好きって言ってたよね。来週○日に○○って寿司屋予約入ってるけど一緒に行く?」
メッセージを送ってからわずか4分後に返信あり。
「ぜひ!その店、めちゃくちゃ名店だよね!一度行ってみたかった!!」
この対応の違い、、まあ今回はこのまま進める。
そして案の定、その店の価値を十二分に知っている。
あと行ったことがまだないというのも超一流の女子でなく、まだ戦いやすい女子であることを表している。
まずは良し、だ。
「じゃよろしく、当日は近くの○駅で待ち合わせしよう」
「はい!」
そして当日、
待ち合わせ時間に若干遅れてサリはやってきた。
「今日は楽しみにしてきた!」
まあそりゃそうだ。
予約を普通に入れても取れない店だもんな。
二人、駅からほど近い店まで歩いて向かい、
入り口の瀟洒な木戸をくぐるとそこは
木目と白が織りなす和の空気漂う空間。
そして職人たちの醸し出す凛とした雰囲気。
「いらっしゃいませ!お待ちしておりました!」
給仕の方にカウンターに案内され椅子に腰を下ろす。
まずは飲み物を聞かれ、スパークリングワインで乾杯。
それからは
ちょうどいいタイミングで供されるつまみの一品、整然と握られる寿司、そしてペアリングの日本酒を楽しむ。
まあ職人さんが目の前にいるカウンターで
ガンガン口説くわけにも行かないので
サリとは当たり障りのない会話。
本当に美味しいものに触れた人はみんなそうなるが彼女は最初からずっと上機嫌。
そして楽しいひと時は流れ、
最後の追加注文、
デザートと終わり、
香り高い熱めの緑茶で締める。
支払い。
二人で83500円。
むう、これだけあればサイゼリヤのミラノ風ドリア250個くらい食えるぞ。
という無粋なことは言うなかれ。
そして今日の本題。
果たしてこの後、サリがどう動くかだ。
会計済ませ、店を出る。
時間は21時。
「じゃもう一軒飲みに行こうよ」
どうしようかな、でもまあ、美味しい食事もごちそうになったし、少しくらいならまだ付き合ってもいいかな。
皇子は、サリがいまどう思っているのか先読みをする。
そして刹那、
「今日、この後予定あるから帰るよ、駅どっちだっけ?」
おお。こちらの許可を得る前に、強引なまでに駅までのコースを進めようとするストロングスタイル。
これは予想をはるかに上回るカラ回りだ。
皇子からのまあそう言わず軽く1杯だけでも行くかという言葉を聞いたか聞かずかのタイミングで踵を返し結局、そのまま帰ってしまった。
そしてその後LINEのメッセージでは、ごちそうさまもありがとうも無し。
このときの皇子の感情。
それは普通にから回るときとはまた別の感情。
一言でいうとまさに「虚無」。
心の景色に色は皆無。
熱くもない、寒くもない。
ただただなんの感情もわかない。
本当にひどい目にあった時って人はこうなるよね。
そして
女子にかけたお金と、対局成功率は完全に反比例するということが、今日の出来事で改めて実証された。
お金をかければかけるほど対局の可能性は低くなるということだ。
キャバクラにハマった男が、どれだけ店に通っても貢いでも本懐を遂げられないのと一緒。
もちろん、そういう店でお金使ってやれてる男はそれなりにいるが、それはお金以外のプラスポイントを嬢にしっかりアピール出来てるからに他ならない。
この話をそのまま、皇子12神、半開きのトニーに話したところ
「そんな変な女連れてかないで俺に連絡くれたら行ったのに。多分もっと楽しかったと思うよ」と。
確かにそう。
そういえば、なんで皇子こんな実験やったんだろ。
やる意味なかったのに。
でもこの痛みを伴う経験でよくわかった。
これ、今後二度とやっちゃいけないやつだ。
唯一つ、良かったこと。
死ぬときに後悔する項目をこうやって今日も一つ潰せたということだ。
総評
皇子、これでいつ死んでもいいね!
エロス ★★★☆☆
難易度 ★★★★☆
なごみ度 ★☆☆☆☆
モテ度 ☆☆☆☆☆