諸兄は最近、人に言われてびっくりした!という言葉はなにかあるだろうか。
びっくりという言葉を辞書で引くと
「突然の事、意外な事に驚くこと」とある。
要は、意外でしょうがないからびっくりするということだ。
セイナとは皇子が、以前友人の結婚式に参列したときに出会った。
ウェーブのかかった黒髪にタイトな赤いワンピースがよく似合うエキゾチックな女性だった。
ここ最近、皇子の昔からの友人たちの結婚が増えてきた気がする。
皇子は結婚という、男子にとっては人生の節目としての現象とは別世界で生きている存在のため、そのような話は女子側からついぞ上がったことがない。
だが、周りは当然のように結婚する。
そして友達なので、当然のように式には呼ばれる。
そして参加する。
仮初めの幸せを享受する新郎新婦をよそ目に、皇子はひたすらパンのおかわりをする。
ああいう場所で出るパンってめちゃくちゃうまいよね。
そんな、頬を炭水化物で膨らませているさなか、彼女とは出会った。
セイナは、新婦側の友人としてきていた。
結婚式に参列した同士でカップルになるという話は、よく聞く話だ。
お互い、友人の幸せな姿を見て、自身に重ね合わせ、いつもよりより本能が刺激されている状態と化すということか。
会場の祝福の熱気と盛り上がりを避けるように、別階に設置された喫煙スペースに彼女はいた。
皇子は、彼女ととりとめのない話をする。
そしてとりとめもなくLINE交換。
そう、結婚式での出会いはあくまで偶然という名の必然。
焦らず、昔からの友人のような感じで、共通の話題である新郎新婦の話を投げかければ警戒心もなく会話を進めることが可能だ。
そして後日、
渋谷のイタリアンで会食。
話は盛り上がり、
お互いワインでほろ酔い加減になるころ、セイナは性に対して非常に前向きな女子であることがわかる。
もしかしてご両親もそれを見越して、名前に「セイ」の2文字を入れたのかも知れない。
「わたし、ちょっと気になっちゃったら体の関係になっちゃうんだよね〜」
「でも良くないのは、最初その人の事、まあ普通かなと思ってても、そういう関係になったら急に気になり始めちゃう」
「それは大変だよね」
皇子、1ミリも思ってもないが、話を合わせる。
「そうなったら急にその男子ほうが立場が強くなったり。。」
皇子の言葉にセイナは大きく頷く。
「皇子、分かってくれる!?ほんとそれ。だからいつも私さいごフラられるんだよね」
「それは相手の見る目なさすぎだな」
皇子がそう水を向けると
「まあなかなかうまく行かないもんだよね」
とセイナはため息。
そんなとりとめもない会話の中、
「私、最近都内のいいホテル、一人で泊まったりしてる」とのこと。
皇子、まさに一閃、ここに隙ありと判断。
「え、俺もよく仕事で集中したい時一人ホテルやるよ。なんか優雅な気持ちになれるよね」
セイナは我が意を得たりと、身を乗り出し
「ほんとそう!皇子分かってる!」
皇子はさらに畳み掛ける。
「じゃあ今度、俺が◯◯ホテルに泊まる時、そこでルームサービス飲みしようよ」
◯◯ホテルは都内でも有数のセレブリティホテルだ。
セイナの目が輝き出す。
「それめっちゃいい!◯◯ホテルまだ泊まったことないから、行ってみたい!」
よし、通った。
じゃあまた今度その時、連絡するねといいその日は解散。
後日、セイナに◯日空いてる?おれ◯◯ホテル泊まるけどと伝えると、快諾。
これは、確だ。
当日、彼女は麻布十番祭り帰り、数杯引っ掛けて現れた。
まあさすがにシラフというのも色気がないと思ったのか
もしくはシラフではとてもではないが皇子と対局できないと思ったか。
どちらにせよ、
その日、皇子とセイナは結ばれた。
すべてが終わってセイナ、二人寝そべるベッドでなにやら不思議そうな顔をしている。
「おかしいな〜」
そんな彼女に「どうした?」と皇子は聞く。
「いやね、こうなったら私すごく気になったり、甘えたくなったりするんだけど、、」
「うん」
「皇子に対して何も感じない笑」
皇子、素直な女子は好きだ。
いやいや、だめだろ、なんでそんなに正直なんだ。それに最後の「笑」はなんだ。
「私もびっくりしてる、なんかほんとに『無』なんだよね」
「うまい下手とかじゃないよ!でもなんか『無』」
無の境地は、ある程度人生を極めた人間が至る境地だ。
さてはセイナ、悟りの域に達したか。
ただ一つ言えること。
一番、びっくりしているのは、皇子だ。
総評
諸行無常の響きあり
エロス ★★★★★
難易度 ★★★☆☆
なごみ度 ★★★★★
モテ度 ☆☆☆☆☆