カラ回り 第292夜

皇子がまだ大学生の頃。
後輩で曽我部という男がいた。

大学の中でも、遊んでいる男たち(当時で言うイケてる集団)の中に曽我部はいた。

ちなみに皇子は
女子との総当たり戦の数だけは異常に多かったので、彼らの中では、実際モテているところはさっぱり見たことがないが、あそこまで数をこなしているなら、皇子はおそらくとんでもない実力者だという、イメージ先行の揺るぎない地位を得ていた。

よくわかんないけどなんか、すごそうという立ち位置だ。
これはあえて皇子がそうなるように仕組み、その位置に鎮座することになったのだが、そのあたりの話はまたいずれ語るとしよう。

当時は顔を真っ黒に焼き、ホストが着るようなデザイン系の黒シャツ、黒スーツなら、女子からかっこいいと言われた時代である。

曽我部は身長は170cm程度。そこまで背は高くない。
確かに他に倣って全身日焼けで浅黒く、スーツを着こなした後ろ姿は立派なイケメン。
だが、前に回って顔面を見ると、どうも田舎の青年っぽい。色黒の田舎系男子。

そして、言葉は東北なまり。

そう、本当に本物の田舎の青年だったのだ。
一見、そのアンバランスさにより、集団の中ではそこまで見た目は目立つ男ではなかった曽我部。

だが、曽我部は強かった。

当時、皇子さえもが嫉妬した彼の武勇伝を数話ここに記そう。

皇子の通う大学の近くにA短期大学という、生徒の78%はキャバ嬢という超エリート女子大があった。
なにをエリートと呼ぶかは環境により変わる。異論があろうとその学校は間違いなくエリート校だ。

当然、そこに通う女子たちのレベルは非常に高く、A短期大学の最寄り駅は授業が大方終わる夕方ともなると即席ラウンジへと変貌する。
改札でシャンパンを売ればさぞや儲かったことだろう。

そして、その学校の女子1人を落とせば、他の女子大の女子3人を落としたことと同義だと、もっぱらの評判であった。ほぼシャア専用ザクと同じ扱いだ。

A短期大学の女子たちの中でもスクールカースト高めの4人組。
曽我部は、そのグループの全員、各個撃破したというのだ。

おそらくプライドもマナスルくらい高く、並の男子には簡単になびかないような女子たちを一網打尽に。
ただでさえ、落とすのに苦労する女子を立て続けに4人。
それも全員友達。
どうにか一人落とせても、下手な方法で口説いたら彼女たちの間で噂が広まり、悪評が光のスピードで回る。
そして進撃の巨人のウォールマリアばりの鉄壁の防御網が張られ、2人目の攻撃などそもそも不可能と化す。

だが、曽我部はやり遂げた。

その中のひとりの女子が言っていたらしい。

「他のチャラい男たちと違って、曽我部くんは優しいし安心できる」
いや、あんたら全員やられとるやん。

もう一つ。

当時、悪い男に性病を移され自暴自棄になり、毎夜、様々な男たちと契りを結び、病を移して回る、羅刹のような女子がいた。

病気だとは知らずに曽我部は彼女にアプローチを掛ける。
そして曽我部の一人暮らしの部屋に彼女をいざない、
いざ事を始めようとした矢先。

「ごめんなさい、私実は○○って病気なの」
「曽我部くん、優しすぎて、私あなたに病気移せない。。」

彼女は泣きながら、曽我部に白状したというのだ。
男という存在を憎み続け、羅刹に堕ちた一人の女子が、曽我部の放つ光によって人間の魂を取り戻した瞬間だ。

さらには

曽我部は、皇子がともに遊んでいたグループで、1、2を争うような美女と付き合った。
なぜ曽我部を選んだかと聞いてみた。
「なんでここまで優しいのってくらい優しいから」

ちなみにいわゆる優しさというのは、モテる要素とずれる場合があるというのが定説だ。
男が思う優しさと、女子が求める優しさは重なっていない部分が多い。

 言うことを何でも聞いてあげる
 連絡もすぐ返す

これが女子の求める優しさではないこと、かえって女子との間の力関係がおかしくなってしまうことは諸兄も想像できると思う。

だが

 相手のことを気遣ってあげる
 無理をさせない

普通に考えれば、これはいいだろと思うことも、実は女子が優しさと取らないこともあるのだ。

結果には、必ず原因がある。

たまたま1回だけ素敵な女子を落としたわけでもなく、曽我部のように継続的に結果を出している人間が運だけで結果を導き出しているということは、絶対ない。

必ず原因があるのだ。

皇子は当時、それを見抜くことができなかった。

女子の求める優しさを理解していない皇子に取って曽我部の行動は、小学生が東大の問題を解こうとするがごとく、理解不能なものだったのだ。

ただ優しくすればいいのか
でも優しくするってなにをどこまで?

彼からその真髄を見出す前に
彼は大学を中退し、我々とは疎遠になった。

もし
いまだに接点を持っていたら、
確実に皇子12神となっていただろう曽我部。

彼はいまもその優しさで
周りにいる女子たちを、人間へと戻し続けているのであろう。

総評
皇子はいまだに優しさ迷子だ。

本日の対局
結果     カラ回り
エロス    ★★★☆☆
難易度    ★★★☆☆
なごみ度   ★★★★★★
モテ度    ★★★★★★